こんにちは。MINEです。
とうもろこしを栽培していると、一度は気になるのが「除房(じょぼう)」です。
とうもろこしは1株に複数の雌穂がつくことが多いです。一般的な栽培方法では、上位の雌穂を残して、それ以外の小さな雌穂を早めに取り除く「除房」が行われることがあります。
理由は単純で、養分を一つの実に集中させるためです。ただ最近は除房をしなくても影響は少ないという情報も出てきています。
「第二房を残すと第一房が小さくなるのではないか?」
「不要な雌穂を取らなくても大きくて立派なとうもろこしになるのか?除房の手間も省けるし。」
いろいろな考えが浮かび、実際にスイートコーンで除房を試してみました。
実証:とうもろこしの除房は必要なのか?
今回実証するとうもろこしはスイートコーンの品種「シュガーマーケット」で試してみました。
成長の過程で複数の雌花が出ました。一番上から第一房、第二房、第三房まで発生しました。(中には第四房も)
これらをあえて除房せずにそのままにしました。全ての房に可能な限り人工授粉を施しました。
アワノメイガの対処をしながら人工授粉の日々。そしていよいよ収穫の時。
収穫してみると少し意外な結果になりました。

第一果には大きな影響を感じなかった
今回の栽培では、第一房については十分に良い実ができました。
一方、第二房については、ほとんどが小さく未熟果で商品としてメインにできるようなサイズにはなりませんでした。
ここだけを見ると、
「やっぱり第二房は取り除いた方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、今回の実証で興味深かったのは、第二房を残したからといって第一房の品質が明らかに低下したようには見えなかったことです。

第一房はしっかりと実が入り、十分に収穫できる品質になりました。産直に出すことができる品質となり出したとうもろこしは一瞬で完売してしまいました。
つまり少なくとも今回の栽培条件では、「第二房を残す=第一房が明らかに小さくなる」とは言い切れない結果になりました。
もちろん、これは1回の栽培結果であり、品種、株間、肥料、水分、日照、気温などによって結果は変わる可能性があります。
今回の実証環境では株間は30センチほど、肥料は化成肥料を適切なタイミングでなかよしくんを用いて追肥を行った。6/1と遅めの播種でありながら生育期間はそこまでの猛暑にならずちょうどいい寒暖差が生まれ成長が良くなった可能性も考えられます。
それでも、実際に育ててみると「本当に除房は必要なのか?除房せずにこれだけ第一房の収穫がよければ不要では?」という考察が出てきます。
今回、除房を行っていて気になったことがあります。
それは、雌穂を取り除いた部分が黒く変色していたことです。

とうもろこしの除房作業や収穫作業では、房ごと回収する以上必ず株の一部を物理的に傷つけることになります。
その切断・損傷した部分が、その後黒っぽく変色していました。
もちろん、今回確認した黒変が直ちに病害によるものだったとは断定できません。
しかし、植物体に傷口を作る以上、そこから病原菌が侵入する可能性については考えておく必要があります。
「養分を集中させるために除房する」というメリットがある一方で、
「わざわざ株に傷をつける」というデメリットもあります。
そう考えると、第一房の品質にほとんど影響がないのであれば、病害リスクを増やしてまで除房する必要があるのか?という考えが生まれます。
今回の栽培結果だけを見るなら、私はむしろ「無理に除房しなくてもいいのではないか」と感じました。


収穫している中で面白い結果もありました。
第二房はほとんどが小さかったのですが、一つだけ非常にきれいに仕上がった第二房がありました。
先端がアワノメイガで侵食されていましたが防除が十分であれば完璧な見入りになっていたと思います。

これは重要なポイントだと思っています。
もし第二房が「必ず小さくなる」「絶対に商品にならない」のであれば、除房する理由は非常に明確です。
しかし実際には、条件次第で第二果でも十分な品質になる可能性があります。
では、その条件は何なのか。
私は、
- 収穫直前までの十分な水分供給
- 良好な受粉
- 適切な気温・温度差
- 十分な日照
- 株の生育状態
- 肥料・養分の供給
などが関係しているのではないかと考えています。
特にとうもろこしは水分・肥料・日光の要求量が大きく、開花・受粉から実が肥大する時期の不足は、収量や品質に大きく影響します。
今回の第二房の多くが小さかった原因も、単純に「第二房だから」と決めつけることはできません。
株そのものの生育状態や、その時期の水分、気温、受粉状況などを合わせて考える必要があります。
今回の結果から私が感じたのは、
第二房が小さい原因を、単純に「養分不足」だけで説明するのは難しいということです。
第一房が先に形成されるため、株内の養分競争では第一房が有利になるでしょう。
そのため、第二房が小さくなりやすいこと自体は十分に考えられます。
しかし、第二房でも一つだけきれいに仕上がった実があったことを考えると、栽培環境を改善することで、第二房の収量をさらに引き上げられる可能性が示唆されていると考えています。
例えば、受粉時期に十分な水分や肥料分を確保し、雄穂からの花粉が確実に雌穂に届く状態を作る。
さらに高温・乾燥などのストレスをできるだけ避ける。
こうした管理を徹底すれば、第二房の中にも十分なサイズまで育つものが増えるかもしれません。
今回の観察はスイートコーンだけではありません。
同時に植えているポップコーンでも第二房を確認しました。
ポップコーンでは第二房に多少の歯抜けが見られたものの、全体としては比較的よく実っていました。

ここで、ポップコーンとスイートコーンの大きな違いがあります。
スイートコーンは基本的に「一本の穂をそのまま食べる」商品です。
そのため、穂のサイズや粒の揃い方は非常に重要です。
一方、ポップコーンは収穫後に乾燥させ、最終的には粒をバラして利用します。
つまり、多少穂が小さくても、粒が十分に成熟していれば商品として利用できます。
この違いを考えると、ポップコーンでは除房しない栽培方法の方が、株当たりの総粒数を増やせる可能性があります。一本一本の穂を大きくするよりも、「株から取れる粒をできるだけ増やす」という考え方です。
これはポップコーンを生産する場合、かなり重要な視点になるかもしれません。

今回の実証を通して、私は「とうもろこしは必ず除房する」という考え方を少し見直すことになりました。
スイートコーンでは、第一房の品質を優先するなら、第二房を残しても第一房に大きな悪影響が出ないのであれば、無理に除房する必要性は低いのではないかと考えています。むしろ、傷口を作ることによる病害リスクも考慮する必要があります。
ただし、第二房の多くが小さくなったことも事実です。そのため、一本の大きくて立派な穂を確実に作りたい場合には、除房が有効になる可能性はあります。
一方で、ポップコーンのように「粒を収穫すること」が目的なら、第二房まで残して株当たりの収量を狙う方法には十分な可能性があります。つまり、
「除房するか、しないか」ではなく、「何を収穫したいのか」で判断する。
これが今回の実証から得た一番大きな結論です。
今回の結果は、あくまで一度の栽培から得られた観察結果です。
そのため、これだけで「除房は不要」と断定することはできません。
今後は、あえて除房を行わず、「第一房+第二房を残した場合の株当たり収量」を確認してみたいと思っています。
特にポップコーンでは、穂そのものの大きさではなく、最終的に採取できる乾燥粒の重量で比較すると面白そうです。除房によって一本の穂を大きくするのか。それとも第二房まで残して、株全体の収量を増やすのか。
この二つは、同じ「とうもろこし栽培」でも、目的によって最適解が変わる可能性があります。
今回の実証では、少なくとも私の栽培環境において、「第二房を取らなければ第一房がダメになる」という結果にはなりませんでした。むしろ、適切な水管理、受粉、気温などの条件を整えることによって、第二房まで十分に育てられる可能性があります。
来年は除房の有無を明確に分けて栽培し、第一房のサイズ、第二房のサイズ、乾燥粒重量などをより詳細に比較してみたいと思います。

とうもろこし栽培では「常識」とされている作業でも、実際に自分の畑で実証してみると、意外な結果が見えてくるものだと強く実感します。Lab Noteでは、こうした「実際にやってみた結果」をこれからも記録していきたいと思います。

