Lab Note9:生のハーブが売れないなら、乾燥させてみる。産直で思った以上に売れた乾燥ハーブの話

こんにちは。MINEです。
畑でハーブを育てていると、一つの問題にぶつかることがあります。

MINE

「思ったよりハーブって売れない。」

もちろんハーブそのものに需要がないわけではありません。バジル、ローズマリー、タイム、イタリアンパセリなど、料理に使えるハーブはたくさんあります。
ところが、実際に産直へ出してみると、生のハーブは意外と競合が多い。産直ではシーズンになると皆が同じハーブを出品する。そして生のハーブで商品棚が溢れてしまいます。
結局売れず鮮度が落ち1日2日で回収せざるを得なくなってしまうんです。
そこで今回は、少し発想を変えてみました。

「生で売れないなら、乾燥させてみよう」

これが思った以上にうまくいきました。
今回は、実際に自分でハーブを栽培し、乾燥させて産直に出してみて感じた小さな小話を、ひとつの「Lab Note」としてまとめてみたいと思います。

育てているバジル。周りはいい香りに包まれる
目次

生のハーブは意外と競合が多かった

最初は、収穫したハーブをそのまま袋詰めして販売することを考えていました。
畑で育てて、収穫して、袋に入れて、産直へ。加工の手間もほとんどありません。
一見すると、とても効率の良い商品です。
しかし、実際に産直の売り場を見てみると、同じように生のハーブを販売している人がいます。
特にバジルやローズマリーなどは家庭菜園でも比較的簡単に育てられるため、出品者もそれなりにいます。

つまり、自分が作った生ハーブが「珍しい商品」になるとは限りません。
価格だけで比較される可能性もあります。
せっかく畑で育てても、売り場で他の商品と並んでしまえば、数あるハーブの一つです。そこで考えました。

「同じハーブでも、商品としての形を変えたらどうだろう?」

そこで乾燥ハーブにしてみた

そこで試してみたのが乾燥ハーブです。
やること自体はシンプルです。
収穫したハーブを選別し、洗浄が必要なものは適切に処理し、しっかり乾燥させる。それだけ。
十分に水分を抜いたら、異物などを確認して袋詰めします。
もちろん、生のハーブをそのまま販売するより工程は増えます。
しかし、乾燥させることで大きく変わることがありました。
保存性が高くなり、販売期間を延ばしやすくなることです。

生のハーブは鮮度が重要です。
収穫してから時間が経てば、葉がしおれたり、色が変わったりします。せいぜい常温の商品棚にだせるのは1〜2日程度。
売れ残れば廃棄になる可能性もあります。
一方、きちんと乾燥させたハーブなら、生鮮品とは違う商品として扱えます。


さらに、売り場を見ていると、思わぬことに気付きました。

MINE

乾燥ハーブを出品している人がほとんどいないな。

これはかなり大きな発見でした。

「誰も出していない」は強い

産直で商品を販売する場合、個人的には「需要があるか」だけではなく、競合がどれくらいいるかを見ることも重要だと思っています。
例えば、10人が同じ商品を販売しているところに11人目として参入するのは、それほど簡単ではありません。
一方で、需要がありそうなのに、売り場にほとんど商品がないジャンルなら話が変わります。
今回の乾燥ハーブがまさにそれでした。
生のバジルなどは競合がいる。でも、乾燥バジルになると競合が少ない。
だったら、同じバジルでも「生産物」ではなく「加工した商品」として販売してみればいい。
そんな単純な発想でした。
ところが、これが実際に産直へ出してみると、思っていた以上に動きました。

乾燥ハーブが思った以上に売れた

最初は正直、そこまで売れるとは思っていませんでした。
夏に商品棚に並べておいて冬の間に誰か少し買ってくれるだろうと考えていました。
乾燥ハーブは匂いが弱くなるので同時期に販売されている生のハーブに勝てるわけがないからです。
乾燥ハーブはスーパーでも購入できます。しかも、大手メーカーの商品もあります。

「わざわざ産直で個人が作った乾燥ハーブを買ってくれるのだろうか?」

という疑問はありました。
ところが、実際に出してみると、思った以上に購入してもらえました。
特に面白かったのは、生のハーブとは違う客層にアピールできる可能性があることです。

生のハーブを買う人は、「今日使いたい」「料理に使うために新鮮なものが欲しい」という需要が中心です。
一方、乾燥ハーブなら、
「常備しておきたい」
「少しずつ使いたい」
「料理の香り付けに使いたい」
という需要があります。

つまり、同じハーブでも商品形態を変えることで、用途そのものが変わります。
これは実際に販売してみて初めて実感しました。

乾燥加工すると「余ったハーブ」が商品になる

乾燥ハーブのもう一つのメリットは、収穫物を無駄にしにくいことです。
生のハーブは、収穫タイミングと販売タイミングが合わなければなりません。
たくさん収穫できても、売り切れなければ全て傷んでしまいます。
これは農業をやっていると結構なストレスになります。
「せっかく育てたのに、売れなかった」
という経験は、家庭菜園よりも販売目的の栽培で強く感じます。

そこで、余剰分を乾燥させる。
もちろん、すべてのハーブを乾燥させればいいという話ではありません。
生で売ったほうが価値の高いものもあります。
ただ、「生で売れなかったら廃棄」ではなく、「乾燥加工して別の商品にする」
という選択肢ができるだけでも、かなり違います。

乾燥ハーブは湿気が大敵。密封容器で一つ一つ丁寧に保管。

小規模農家だからこそできる商品づくり

今回の経験から感じたのは、小規模な農業では「大量生産」だけを考えなくてもいいということです。
大規模農家と同じ土俵で価格競争をすれば、どうしても厳しくなります。

そこで、
「自分の畑で作れるもの」
「地域の産直で競合が少ないもの」
「少量でも加工できるもの」
を組み合わせる。

この考え方は、乾燥ハーブ以外にも応用できそうです。
例えば、バジルだけでなくローズマリー、タイム、イタリアンパセリなど生では売りにくくても、乾燥させれば商品になる可能性があります。

もちろん、加工する以上は衛生管理や表示など、守るべきルールがあります。そこは産直の方に事前にきちんと確認しておく必要があります。
「乾燥させれば何でも売れる」というわけではありません。
それでも、農産物を「収穫したもの」として売るだけではなく、ひと手間加えて別の商品に変えるという発想は、小規模な産直販売ではかなり面白いと思います。

重要なのは「売れない=需要がない」ではないこと

今回、一番勉強になったのはここです。
生のハーブがあまり売れなかったとき、最初は「ハーブそのものに需要がないのかな」と考えました。
でも、実際には違いました。
需要がないのではなく、
「自分が出していた商品の形が、売り場と合っていなかった」
可能性があります。
生のハーブは競合が多い。一方で乾燥ハーブは競合が少ない。そして、乾燥ハーブには保存性という明確なメリットがある。
たったこれだけの違いで、商品の見え方が変わりました。
農産物を販売していると、どうしても「何を作るか」に目が向きます。
しかし、実際には「どう売るか」も同じくらい重要なのかもしれません。

これから乾燥ハーブを増やしてみたい

今回の結果を見て、私は乾燥ハーブは今後もう少し種類を増やしてみたいと考えています。
現在植えているのはバジル、ローズマリー、シソ、イタリアンパセリです。ここにタイムやスペアミント、月桂樹など加えてみたいと考えています。
もちろん、いきなり大量生産するつもりはありません。
まずは少量ずつ作り、どの商品が売れるのかを確認する。そして売れたものを増やす。売れなかったものは原因を考える。この繰り返しです。
やっている感覚は農業というより、ちょっとした商品開発に近いかもしれません。
自分で育てたハーブを収穫して、乾燥させて、袋詰めして、実際にお客さんに買ってもらう。そして、その反応を次の栽培に反映する。
この一連の流れは、かなり面白いです。

自作育苗棚でバジルを追加生産中

まとめ

今回の乾燥ハーブ販売で感じたのは、「売れないからやめる」のではなく、「売り方を変えてみる」ことの重要性でした。生のハーブは競合が多く、なかなか目立ちませんでした。
そこで乾燥させてみたところ、競合が少ない商品になり、思っていた以上に産直で販売できました。
もちろん、乾燥には手間がかかります。
乾燥状態の確認、異物チェック、袋詰め、表示など、生鮮品にはない工程も増えます。
それでも、保存性が高くなり、収穫物を無駄にしにくくなり、さらに競合の少ない商品として販売できる。
このメリットはかなり大きいと感じています。
農業では「良いものを作る」ことが重要です。でも、販売まで考えるなら、
「誰が売っているのか」
「何が売り場に並んでいるのか」
「自分の商品にどんな違いを作れるのか」
を見ることも大切なのかもしれません。

今回の乾燥ハーブは、まさにそれを実感した商品でした。
これからも、畑で作ったものをそのまま売るだけではなく、「少し加工したら別の商品になるもの」も探していきたいと思います。
もしかすると、産直で売れる商品は、畑の中ではなく「売り方」の中に眠っているのかもしれません。

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