スイートコーンを栽培していると、「先端まで粒が入らない」「ところどころ粒が抜けている」といった着粒不良が起こることがあります。

スイートコーンは、株の頂部にある雄穂から花粉が飛び、雌穂から伸びる絹糸に花粉が付着することで受粉します。
絹糸は1本1本がそれぞれ1粒につながっているため、十分に受粉できなかった部分では粒が形成されません。
そこで今回は、実際に栽培しているスイートコーンを使い、人工授粉を行うことで受粉を補助できるのかを実証しました。
実証の目的
今回の目的は、「スイートコーンに人工授粉を行うことで、雌穂の着粒を改善できるか」を確認することです。
スイートコーンの花は風媒花と呼ばれる風によって花粉が運ばれる作物ですが、栽培規模が小さい場合や、花粉が十分に行き渡らない状況では受粉不足が起こる可能性があります。
今回は、さらに積極的に確実に花粉を雌穂へ付着させる方法を試しました。
実証方法
使用した作物・条件
- スイートコーン(シュガーマーケット)
- 露地栽培(2列千鳥植え。株間は30センチほど)
- 種から育苗した自家栽培株を使用

人工授粉の方法
開いた雄花は少しでも触ると細かい黄色い粉を撒き散らします。これが受粉させるために必要なスイートコーンの花粉です。
雄穂から花粉が出ていることを確認したうえで、花粉を採取し、雌穂から伸びている絹糸へ付着させました。
採取の際5〜6株の雄花を切り落としたものを束ねて用いました。5株ほど使うと花粉の出は悪くなるため再度新しい雄花の採取を行い同様に繰り返した。
使用済みの雄花はどうやら切った後もしばらくは花粉を飛ばすことができるようだ。そのため再度利用できるようにバケツに入れて保管し。受粉作業の期間中は何度も使用した。
人工授粉では、雌穂の絹糸が十分に伸びているタイミングを狙いました。
スイートコーンでは、絹糸が雌しべに相当し、そこへ雄穂から飛散した花粉が付着することで受粉します。
そのため、単純に雌穂へ花粉をかけるのではなく、絹糸に花粉を付着させることを意識しました。
絹糸が茶色くなると受粉が完了している目安になりますが、念のため雄花が咲いている期間中は人工授粉作業のたびに全ての雌花に毎回行いました。


観察したポイント
人工授粉後は、以下の点を確認しました。
- 雌穂の粒の入り方
- 先端部まで着粒しているか
- 粒の抜けが発生していないか
- 雌穂全体の充実状態
- 収穫時の見た目
特に注目したのは、雌穂の先端部分まで粒が形成されるかどうかです。
スイートコーンでは、雌穂の先端部分に発育不良粒が生じることがあり、その原因として受粉不足が関係することが報告されています。研究では、人工授粉によって先端部にも発育粒が認められた例があります。
実証結果
いよいよ収穫となり実際に収穫時に皮を向いて粒の形成状態や先端部の着粒状況を確認しました。
一番房の8割ほどは丸々と太ったものが多く、皮を剥いてみるとパンパンに実が詰まっている状態でした。


一方で残りの一番房や2番房は人工授粉をしても歯抜けしたり着実不良で食用にならないものもありました。

考察
今回の結果から、人工授粉によってスイートコーンの受粉を補助できる可能性が確認できました。
ただし、人工授粉を行えば必ず粒がびっしり入るというわけではありません。
粒の形成には受粉だけでなく、その後の生育状態や光合成による養分供給など他の要因も関係します。
今年は収穫時期手前に強烈な猛暑があり水分不足に悩まされる期間がありました。また、一部の株にアワノメイガの幼虫が再度侵入し食いあわされる株も散見されました。
また、スイートコーンは本来、風によって花粉が運ばれる風媒植物です。そのため、十分な株数をまとめて栽培することで自然受粉を安定させる方法もあります。1~2株や1列だけでは花粉不足になりやすいため、10株以上または2列以上のまとまった栽培が推奨されています。しかし人工授粉期間後半は雄花がなくなる一方で雌花はどんどん出続ける状況が発生しました。この時十分に受粉できなかった株が結実不良などを引き起こした株なのではないかを考えています。
人工授粉は、通常の栽培方法を置き換えるものではなく、「受粉条件が不十分なときに、花粉を補うための方法」として考えるのが適切なようです。アワノメイガ被害防止のために雄花を切り落とすことが多いですが一部雄花を残すことで人工授粉と自然受粉のハイブリッドになりより結実効果が見込める可能性があるのではないかと考えました。
今回の実証から分かったこと
今回の実証では、スイートコーンの人工授粉について実際の栽培環境で確認しました。
スイートコーンは風によって自然に受粉する作物ですが、栽培株数が少ない場合などには、人工的に花粉を補うことで受粉を安定させられる可能性があります。
特に、
- 栽培株数が少ない
- 1列植えで花粉が十分に行き渡らない
- 雌穂は出ているのに着粒が悪い
- 強風や雨などで花粉がうまく飛散しなかった
といった条件では、試してみる価値のある方法だと考えられます。
一方で、人工授粉だけで着粒不良のすべてを解決できるわけではありません。水分不足や猛暑、アワノメイガによっても収量が落ちてしまう要因となり得ます。
今後は、人工授粉を行った雌穂と自然受粉に任せた雌穂を比較し、着粒率に違いが出るかを確認してみたいと思います。
まとめ
今回の実証では、スイートコーンの人工授粉を実際に行い、着粒状態を観察しました。
スイートコーンの受粉は基本的に風任せですが、人工授粉によって花粉を補助することは可能です。
特に家庭菜園や小規模栽培では、花粉不足による着粒不良を防ぐための補助的な手段として、人工授粉は検討する価値があります。
今後も実際の栽培結果を記録しながら、「本当に効果があったのか」まで確認する実証型の栽培記録として検証していきます。


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